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理事長挨拶
日本甲状腺学会理事長
田上哲也
2023年11月21日に開催された社員総会において、日本甲状腺学会の第7代理事長に就任いたしました。歴史ある本学会の理事長に選任されたことを大変光栄に存じます。私は、研修医以来、甲状腺学会に育てられてきたと言っても過言ではありません。2006年からはバーチャル臨床甲状腺カレッジの開設に、2017年からは理事のひとりとして微力ながら本学会の運営に関わらせていただいてきました。これまで、会員の皆さま、評議員の皆さま、理事・監事の皆さまの御支援を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
さて、日本甲状腺学会は、甲状腺学の進歩と向上をはかることを目的とし、学術集会の開催・国際交流の促進・研究者および優れた臨床医師の育成その他を行う学術団体です。
具体的には、
(1) | 甲状腺学に関する調査・研究及び教育 |
(2) | 甲状腺学に関する学術集会、教育研修会及びセミナー等の開催 |
(3) | 甲状腺学に関する機関誌及び学術図書等の発行 |
(4) | 甲状腺専門医及び甲状腺専門医施設の認定のための諸活動 |
(5) | 国内外における関連学会、団体との交流及び連携 |
(6) | その他、本法人の目的を達成するために必要な事業 |
を目的としています。
本会は、1958年5月に設立され、初回学術集会となる第1回甲状腺研究会が京都大学の三宅 儀先生により京都で開催されました。以来、全国の大学や専門病院の主催で、毎年各地で学術集会が開催されてきました。1980年5月に日本内分泌学会の甲状腺分科会となり、1996年10月に日本甲状腺学会と改称され、2020年10月には一般社団法人となりました。本学会のさらなる発展に向けて、最大限の尽力をしてまいりたいと存じます。
今後の抱負ですが、継続していかねばならないことや新たに始めなければならないことが目白押しです。まずは、日本医学会への登録を目指して菱沼 昭 前理事長が取り組んで来られた、
① | 若手甲状腺医の育成:甲状腺疾患はその頻度が高いにもかかわらず、診断や治療に至っていない患者さんがたくさんおられます。そのような患者さんを正しく診ることのできる甲状腺医を育成します。バーチャル臨床甲状腺カレッジはその一翼を担っています。 |
② | 専門医制度の充実:甲状腺疾患の診療には内科医、外科医、小児科医のみならず、放射線科医、検査科医、病理医、耳鼻咽喉科・頭頸部外科医、産科・婦人科医などの協力が必要です。それぞれの専門性を活かした専門医を養成します。学術集会時に開催される専門医教育セミナーや若手研究奨励賞もその一環です。また、2023年には次世代研究者の会NexT-JTA(Next-generation committee of Thyroidologist in the Japan Thyroid Association)が発足しましたので、その支援も行なっていきます。 |
③ | 甲状腺検査の標準化:日本には厚生労働省が承認しているホルモン検査のキットメーカーが約10社あります。しかし、各社は独自の測定法を持っていて基準値が微妙に異なります。TSHに関しては20歳から60歳の範囲でハーモナイゼーションという方法で解決されましたが、小児、高齢者、妊婦の基準範囲の設定が未達成です。また、FT4の標準化もこれからです。 |
④ | 女性支援:甲状腺疾患は女性に多い病気です(女性は男性の2〜5倍)。しかし、専門医や評議員の数は男性優位です。それを解決すべく、2018年、⼥性甲状腺医/研究者⽀援委員会J-WIT (Japan Women in Thyroidology)が発足しました。J-WITを基盤として、女性がさらに活躍できるよう、引き続き支援していきます。 また、 |
⑤ | 研究助成と成果の発信:基礎研究者への支援(基礎医学研究助成など)、新たに創刊される英文学術誌(Thyroid Science)への診断ガイドラインなどこれまでの成果の掲載、国際交流の推進、学会ホームページの更新・刷新などを進めていきます。 |
⑥ | 一般医家への啓発活動:甲状腺疾患に関する数々の臨床重要課題について、会員の方々のみならず、一般医家の方々にとっても日々の診療に役立つものとなるよう、引き続き解決していきます。種々の診療ガイドラインについても、追加・改訂・周知していきます。 |
⑦ | 患者さんへの啓蒙活動:毎年5月25日は世界甲状腺デーです。コロナ禍が落ち着き、2023年から市民公開講座を再開しました。今後も毎年開催を目指します。 以上についても、引き続き,充実・発展させていきます。 さらに、 |
⑧ | 新薬の開発・適応への協力:例えばバセドウ病の治療薬は80年前からほとんど変わっていません。しかし、現在、様々な新しい抗体薬や分子標的薬が開発され、日本でも治験が始まっています。その適応について慎重に評価すべく、学会としても積極的に関わっていきます。 |
⑨ | 全国で開催されている甲状腺研究会の援助:現在、日本の各地で甲状腺疾患に関する勉強会が独自に開催されています。しかし、各地の協賛企業のサポートは年々減少してきています。そこで、日本甲状腺学会として何か援助できることがないか、模索してまいります。 |
上記を実現するため全力で取り組む所存ですので、理事・監事各位、評議員各位、会員各位におかれましては、今後とも日本甲状腺学会の発展にご支援を賜りますようお願い申し上げます。